
PCB廃棄物が、特別管理産業廃棄物として指定され、また、全量廃棄の期限も令和9年3月までと特措法で定められてから現在に至るまでに、それほど年数は経過していないように思います。PCBを検索エンジンで調べると、頻繁に表れるワードは、「カネミ油症事件」ですが、どうやらこの事件が、PCBの全量廃棄の発端となっているようです。本記事は、この「カネミ油症事件」について触れてみたいと思います。
ダイオキシンとPCBそして、「黒い赤ちゃん」

米油とは、ココナッツオイル・なたね油などのように家庭で、揚げ物や炒め物などに使う食用油なので、ヘルシーで身体にいいとされており、その中でも米油は、悪玉コレストロールを下げる成分を多く含むことから、現在でも注目を浴びています。食用油を使った料理は、皆様の食卓でも並んでいるのではないでしょうか。しかし、昭和43年にこの米油をめぐって事件が発生しました。それが、「カネミ油症事件」です。当時、カネミ倉庫㈱は、福岡県北九州市小倉北区で米油の製造しておりました。しかし、その製造過程で異臭を防止するための除去装置を取り入れていたのですが、その装置に使用していたPCBが配管から漏れ出し、米油の中に混入してしまったのです。PCB入りの米油がさらに除去装置で加熱されることで、ダイオキシン入りのコメ油に変化してしまったのです。この混入について、早期に発見できて製造をストップさせておれば大きい事件とならなかったのでしょうが、相当量のダイオキシン混じりの米油(カネミライスオイル)が市場を出回ってしまったのです。そして、これを摂取した方々が、肌の異常、頭痛、手足のしびれ、肝機能障害などを引き起こしたわけです。それと同時に本工場から出荷された飼料を与えられた鶏50万羽が突然死んでいるのも、これに関係していると言われています。被害は、西日本一帯に広がり収拾がつかないところまで拡大してしまい、現在に至っては、世間から受ける差別などから沈黙していた被害者たちの中から実名を出して声を上げる人が出始めております。
参考までにカネミ油症事件で有名になった「黒い赤ちゃん」に関する書籍を見つけましたのでその一文を紹介します。
「カネミ倉庫製の米ぬか油を食べた多くの人々が体のあちこちをむしばまれた。「黒い赤ちゃん」は油を直接摂取した母親から生まれた。母乳を通して、肌が黒くなった赤ちゃんもいる。黒い赤ちゃんは化学物質が次世代に与える影響を考えるうえで、象徴的な出来事である。」
「黒い赤ちゃん カネミ油症34年の空白」
明石昇二郎著 講談社(2002年)より
原因の究明は?
PCBは、昭和4年にアメリカのスワン社が、工場生産を世界で始めて開始しました。また、昭和29年には、日本で始めて、鐘淵化学工業が製造をスタートさせます。
また、鎧淵化学工業は、現在では、コエンザイムQ10の原料や資生堂薬品・小林製薬・DHCなど各社に供給している(株)カネカに社名変更しております。
当時、鐘淵化学工業が製造・販売していたPCBが、カネミ倉庫株式会社において米油に混入し、カネミ油症事件が発生したとされ、裁判では、鎧淵工業の責任が追及されましたが、なんと、カネミ倉庫は米油にダイオキシンが、含まれていることを知ったあとも汚染油を売り続けた結果、工場のあった福岡と長崎にさらなる被害をもたらしたとされ、カネミ倉庫の隠ぺいの見方が強まり、全責任がカネミ倉庫にあるとされました。
平成30年12 月末現在のカネミ油症の認定患者数は、2,322 名です。(厚生労働省カネミ油症行政担当者会議より)年々、患者も高齢化が進み事件の意識が薄れていく中で、厚生労働省は、無償の健康診断や、研究開発などの施策を推進しております。いずれにしても被害者の気持ちを考えれば、一刻も早く真相を明らかにし、政府や企業は十分な補償をしていくべきと思います。また、黒い赤ちゃんが象徴するように、化学物質が人体に与える悪影響は、はかり知れませんし、これを鑑みれば、有害な化学物質の全量廃棄の重要性が、お分かりになると思います。PCB廃棄物の全量廃棄の期限は残り8年足らずです。早急なPCB処分を皆さんと目指してまいりたいと思います。
厚生労働省 カネミ油症行政担当者会議よりhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000193138_00002.html
主な許可・資格
〇建設業許可(解体工事業)新潟県知事許可(般-1)第41442号
〇新潟県産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01508055229号
〇新潟市産業廃棄物収集運搬業(積替え保管) 許可番号 05910055229号
〇新潟市産業廃棄物処分業 許可番号 05920055229号
〇新潟県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01558055229号
〇古物営業許可取得 新潟県公安委員会許可 第461070001021号
〇山形県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 0659055229号
〇群馬県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01050055229号
〇富山県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01659055229号
〇福島県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 00757055229号
〇長野県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 2059055229号
〇解体工事施工技師1名
〇第三種電気主任技術者1名
