
PCBが含有している変圧器を解体する際に留意するのは、PCB油を燃やさないようにすることです。PCB含有変圧器は、抜油し、コンサベータ、ラジエター、分電盤その他の取り外しをおこなったら、容器を切断する作業に移行します。PCB不含有変圧器ではガス溶断作業(酸素とアセチレンなどの可燃性ガスを用いた切断方法)が主流でしたが、火事のリスクやPCBを燃やすことでの大気の環境汚染などを考慮し、無火気で行うことが安全で且つ効率的です。(基礎や肉厚の鉄箇所でPCB油と火が接触しない箇所はガス溶断を行うこともある)よって弊社では、PCB含有変圧器は、無火気で解体していきます。
それでも、変電所内の解体工事では、ガス溶断作業が必要なシーンが多々あります。ガス溶断作業は安価であり、非常に使いやすい側面を持ちますが、一歩間違えば、爆発や火災などの重大事故・災害につながる危険な作業です。本記事では、ガス溶断作業において、没頭してしまうリスクと、あり得ない危険事例を紹介してみます。
没頭するガス溶断作業
ガス溶接の作業は、アセチレンや酸素により鉄を高熱にし、接合または溶断する方法で、建設現場や産業廃棄物施設等において幅広く用いられております。高温の炎を取り扱うために爆発・火災や中毒性の危険を伴う作業であるため、労働安全衛生法等の法令において、ガス溶接技能講習を修了した方でなければ行ってはならないと定められています。
私もガス溶断の経験者ですが、この作業は、やりだすと本当に面白くて中毒性があり、この没頭から引火していることに気づかないで、爆発や火災を起こしてしまうのでしょう。この没頭という危険有害要因を防ぐには、消化水をかける監視員とさらには、それらを総合的に管理する作業責任者を選任しなければならないのです。(ガスボンベを10本以上備え付けて行う場合は、作業主任者を配置し、監視しなければならない)
ガス溶断の作業員が没頭して周りが見えなくなるのは至極当然のことです。重要なのは、そこに監視員がいるかどうかが非常に重要なことと思います。
次に、ガス溶接技能講習で使用したテキストより、わたくしの偏見で抜粋した、ガス溶断作業であり得ないあり得ない危険事例をご紹介させていただきます。
あり得ないその1(レベル★★☆)
ガス溶断の際、切った鉄粉の火花が酸素瓶とアセチレン瓶に大量に放たれている
火花が酸素瓶やアセチレン瓶に降りかかることで、爆発を起こした事故もたくさんあり、以前改善されていない作業現場もよく目にします。ガス溶接・溶断の際は、切る位置から酸素瓶やアセチレン瓶の間を最低5メートル離して、行うようにしなければなりません。
あり得ないその2(レベル★★☆)
ガス溶断作業のバーナーをたばこのライターにしている
これは、相当論外ですが、世の中にはそういう方もいるみたいですね。事故事例はないようですが、相当あり得ない事例です。喫煙は決められたところで、決められたライターでお願いいただきたいところです。
あり得ないその3(レベル★★★)
バーナーから出る酸素で、「シューッ」と体にかけて涼む行為
ガス溶断を行っていると、作業をやっている本人のみならず、近くにいる人までにその熱気が襲います。夏なんかはかなり暑いです。だからといって、バーナーから出る酸素で、「シューッ」と体にかけるのは、絶対やめましょう。これによって実際引火してしまい大やけどを負った事例がありますので、現場ルールに基づいた熱中症対策をきちんと行うべきです。
あり得ないその4(レベル★★☆)
市販のライターでバーナーに火を付ける
ガス溶断で使用するバーナーには、点火用のライターがありますので、それを使用しないで市販のライターで点火する方がいます。点火の際、手も一緒に燃やしてしまい、大やけどになる労災が多発していますので、点火専用のライターを使用しなければなりません。
あり得ないその5(レベル★★☆)
火の元を確認しないで、終業する。
これは、労災になるというより、火事になります。火事になってしまえば甚大な被害が及ぶかもしれません。ガス溶断を終了する前には、必ず火の元を確認してから終業して帰宅していただきたいものです。また、休憩時も火の元を確認してから入る必要があると思います。
いかがでしたか?その他にも、ガス溶断作業は、いろいろな災害事例が報告されております。行う前は、必ず労働安全衛生規則にあるガス溶接技能講習をうけ、そこで学んだことをしっかり守って、安全に作業しなければなりませんね。
主な許可・資格
〇建設業許可(解体工事業)新潟県知事許可(般-1)第41442号
〇新潟県産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01508055229号
〇新潟市産業廃棄物収集運搬業(積替え保管) 許可番号 05910055229号
〇新潟市産業廃棄物処分業 許可番号 05920055229号
〇新潟県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01558055229号
〇古物営業許可取得 新潟県公安委員会許可 第461070001021号
〇山形県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 0659055229号
〇群馬県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01050055229号
〇富山県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01659055229号
〇福島県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 00757055229号
〇長野県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 2059055229号
〇解体工事施工技師1名
〇第三種電気主任技術者1名
