国は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社を設立し、高濃度PCBの全量廃棄に努め、民間企業でも低濃度(微量)PCB廃棄物の大臣認定の無害化処理施設や課電洗浄処理などの取り組みがなされております。
なぜ、国をあげてまで、PCBの全量廃棄を目指すのか?本記事では、そもそもPCBとは、どのような時代に誰が開発したのか?その責任は?そして今後どのようにしていくべきなのかについて記載させていただきます。
PCB生みの親シュミット氏とシュルツ氏は、罪人か?

明治14年に、シュミットとシュルツという2人のド イツ人化学者は、PCBの合成に成功したと言われております。彼らが、成功をおさめた背景には、科学の成果を追い求める世界の共通認識があり、そこに環境汚染や環境リスクという概念は、存在しておらず、彼らを一概に批判することはできません。むしろ、その当時では、世界をより良くしていこうとする素晴らしい志があったことに、敬意を表さなければならないでしょう。
そして、開発から約半世紀経ってから、PCBは、日本において「夢の油」として昭和初期~昭和43年のカネミ油症事件が起きるまで大変重宝されたのです。
しかしながら、負の遺産を生み出したことの後始末は、世代を超えて私たちに降りかかっております。ちなみに負の遺産は、PCBだけにとどまらず、フロン類やアスベストさらに言うと放射能物質まで多岐に渡っております。
世代責任
以前のブログでは「カネミ油症事件」をとりあげましたが、なぜこの事件が、クローズアップしたのかをおさらいしてみましょう
「カネミ油症事件」は、国際的な会議で「YUSHO」と呼称され、世界を震撼させました。これによって化学物質の恐ろしさと環境汚染に対する配慮の重大さが世界に発信させたといっても過言ではないでしょう。前段で述べさせていただいた通り、負の遺産になり得る化学物質の責任の跡継ぎは、まさにこの「カネミ油症事件」が始まりにあったような気がしてなりません。その後、ストックホルム条約(POPs 条約)が平成16年に発行され、ますますPCBなどの化学物質の根絶の意識と我々に向けた責任が加速していくことになります。
抱えなければならないPCB所有者責任。

PCBにかかる具体的な責任は、令和9年の3月までにPCB所有者が、PCB廃棄物の処分を終わらせなければならないということです。既に使用不可となった電力機器は、調査をしてPCB含有機器と判明すれば、漏洩対策がなされた上で厳重保管をし、保管届を地元の行政に提出しておりますので、処分の段取りが進みやすいのですが、処理期限を過ぎる可能性が高いケースが存在します。それは、現在使用中の変圧器、コンデンサ、安定器などの電力機器です。使用中なのでそれを調査することを忘れがちで、PCB調査をしていなければ当然処分の段取りには行き着かないのです。今後このようなPCB電力機器は、継続的に発生するものと考えられます。さらに恐ろしいのは、間に合わなかった場合の具体的な罰則が未だに公表されていないということです。罰則が罰金程度で済めば良いですが、それによって世の中に開示されたら企業価値が毀損し、最悪倒産することも考えられます。PCBを抱えている企業様は、とてつもないリスクと対峙していると言えるのです。
いかがでしたでしょう?PCBを含めた負の遺産は、やはり今を生きる私たちがしっかり引継ぎ、次世代にその責任を背負わせないように取り組んでいかなければなりません。また、当時の常識が今や非常識になっているのなら、私たちが思う常識も大きく変化するのかもしれません。私たちが扱っている商品やサービスが次世代に迷惑をかけないよう長期的な目線で環境汚染や労働環境を配慮していかなければなりませんね。弊社にできることは、本ブログを通じて処分期限を喚起したり、低濃度PCBを適正に安全に処分していくことです。是非ともご相談お待ちしております。
参考文献
川名英之著『ドキュメント 日本の公害 第3巻 薬害・食品公害』(緑風出版 )
主な許可・資格
〇建設業許可(解体工事業)新潟県知事許可(般-1)第41442号
〇新潟県産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01508055229号
〇新潟市産業廃棄物収集運搬業(積替え保管) 許可番号 05910055229号
〇新潟市産業廃棄物処分業 許可番号 05920055229号
〇新潟県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01558055229号
〇古物営業許可取得 新潟県公安委員会許可 第461070001021号
〇山形県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 0659055229号
〇群馬県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01050055229号
〇富山県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 01659055229号
〇福島県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 00757055229号
〇長野県特別管理産業廃棄物収集運搬業 許可番号 2059055229号
〇解体工事施工技師1名
〇第三種電気主任技術者1名
